この記事を書いた人:なかじぃ 家飲み研究家 / 家庭料理研究家むかしから、自宅に友人同僚を読んでの家のみで料理しながらの飲みが趣味。もちろん、日常の料理もしっかりと行います。サラリーマン時代にはサラリーマンNしまの毎日レシピで料理ブログで人気を博す。
「妊娠おめでとうございます!」という医師の言葉に喜びを感じたのも束の間、帰り道にふと立ち寄ったカフェで「あ、いつものコーヒー飲めないんだ…」と呆然とした経験はありませんか?
今まで当たり前に飲んでいたコーヒーや紅茶、緑茶が急に「控えるべきもの」になり、スーパーのお茶売り場で「どれなら飲んでいいの?」とパッケージの裏面とにらめっこして立ち尽くしてしまう。その不安な気持ち、痛いほど分かります。私も長男を妊娠した時、全く同じ経験をしました。
でも、安心してください。そんなあなたにこそ、自信を持っておすすめしたいのが「麦茶」です。
麦茶は、単に「カフェインが入っていないから仕方なく飲む代用品」ではありません。実は、妊娠中にドロドロになりがちなママの血液をサラサラにし、お腹の赤ちゃんにスムーズに栄養を届けるための「最強のパートナー」なのです。
今日は、管理栄養士として、そして二人の子供を育てた先輩ママとして、あなたが心から安心して飲める麦茶の選び方と、意外と知られていない「本当に安全な作り方」についてお話ししますね。
なぜ麦茶は「ノンカフェイン」? 妊婦さんが絶対安心できる理由

「ノンカフェインって書いてあるけど、本当に微量も入っていないの?」「加工で抜いているなら、薬品とか使ってない?」
妊娠中は、口にするもの全てに敏感になりますよね。まずは、なぜ麦茶が100%カフェインゼロと言い切れるのか、その仕組みをクリアにしておきましょう。
麦茶は「お茶」ではなく「穀物スープ」です
結論から言うと、麦茶には構造的にカフェインが含まれる余地がありません。
私たちが普段「お茶」と呼んでいる緑茶、紅茶、ウーロン茶は、すべて「カメリアシネンシス(茶の木)」という植物の葉から作られています。この茶の木自体が、虫から身を守るためにカフェインを生成する性質を持っています。
一方で、麦茶の原料は「大麦」という穀物(イネ科の植物)です。 大麦は、お米や小麦と同じ仲間。つまり、麦茶は大麦を焙煎して煮出した「穀物スープ」のようなものなのです。
茶葉由来の緑茶や紅茶とは植物としてのルーツが全く異なるため、大麦には元々カフェインを作る能力がありません。
「カフェインレスコーヒー」のように、元々入っているカフェインを加工プロセスで取り除いたものではなく、最初から存在しない「ノンカフェイン」。だからこそ、妊婦さんや赤ちゃんがどれだけ飲んでも、カフェインによる影響は一切ないのです。
茶葉と大麦の原料比較図

なぜなら、麦茶におけるノンカフェインは「加工技術」ではなく「自然の摂理」だからです。妊娠中は神経質になりがちですが、麦茶に関しては「大麦だから大丈夫!」と、どーんと構えて安心して飲んでくださいね。
ただの水より麦茶! むくみ・冷えを防ぐ「ピラジン」のすごい効果

「安全なのは分かったけど、味気ないし、飽きちゃいそう…」
そう思うかもしれません。でも、ここからが管理栄養士として一番お伝えしたいポイントです。麦茶には、妊娠中のマイナートラブルを救う、すごいパワーが秘められているんです。
血液サラサラ成分「アルキルピラジン」
麦茶を飲んだ時、鼻に抜けるあの香ばしい香り。あれは単なる香りではなく、「アルキルピラジン」という有効成分です。
実は、このアルキルピラジンには、血液の流動性を高め、血流を改善する効果があることが研究で分かっています。
妊娠中は、赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために、ママの体内の血液量が約1.5倍に増えます。しかし、水分不足やホルモンバランスの影響で血液がドロドロになりやすく、それが「ひどいむくみ」や「手足の冷え」、さらには「血圧の上昇」につながることがあります。
ここで麦茶の出番です。麦茶に含まれるアルキルピラジンが、滞りがちな血流をスムーズにし、末梢血管を広げてくれるのです。
ただ水を飲むだけでは得られないこの「血流改善効果」こそ、私が妊婦さんに麦茶を強くおすすめする理由です。麦茶は、ママの体を温め、赤ちゃんにスムーズに栄養を届けるための「飲むサプリメント」と言っても過言ではありません。
麦茶の香ばしい香り成分である「アルキルピラジン」には、血液の流動性を高める効果(血液サラサラ効果)があることが確認されています。
出典: 麦茶の香ばしい香りに血液サラサラ効果を確認 – キリンホールディングス, 2011年
【要注意】その「煮出し麦茶」が危険かも? 妊婦が守るべき衛生ルール

さて、ここで一つだけ、とても重要なお話をさせてください。
「麦茶は煮出した方が、殺菌されて安全だよね?」と思っていませんか?
実は、その「煮出し」の後の工程に、妊婦さんにとって見過ごせないリスクが潜んでいるのです。
「常温放置」は菌の温床になります
昔ながらの作り方で、やかんで麦茶を煮出し、そのままコンロの上やテーブルで「冷めるまで置いておく」こと、ありますよね。
実はこれ、食中毒のリスクを高める一番危険な行為なんです。
食中毒の原因となる「ウェルシュ菌」などは、30℃〜40℃前後の温度帯を最も好みます。熱々の麦茶を常温でゆっくり冷ますと、この「菌が一番増えやすい温度帯」を長時間通過することになり、煮沸で死滅しなかった耐熱性の菌が一気に増殖してしまう可能性があるのです。
妊娠中は免疫力が下がっているため、普段なら平気な菌でも食中毒を起こしやすくなっています。良かれと思ってやった「煮出し」が、逆効果になっては大変です。
安全なのは「水出し」か「急冷」
では、どうすればいいのでしょうか? 答えはシンプルです。
- 水道水での「水出し」:
日本の水道水に含まれる塩素には殺菌効果があります。清潔な容器に水道水と麦茶パックを入れ、冷蔵庫で作る「水出し」は、衛生面で非常に安全です。 - 煮出し後の「急冷」:
どうしても煮出しの香ばしさが欲しい場合は、煮出した直後にやかんごと氷水につけるなどして、一気に温度を下げてください。 菌が好む温度帯を素早く通過させ、すぐに冷蔵庫に入れることが鉄則です。
妊婦さんのための安全な麦茶の作り方フロー

先輩ママも実践! 失敗しない麦茶の選び方とQ&A
最後に、スーパーに行った時に迷わない「麦茶選びのコツ」と、よくある質問にお答えします。
「六条大麦」を選ぼう
麦茶の原料には主に「二条大麦」と「六条大麦」がありますが、おすすめは断然「六条大麦」です。
先ほどお話しした、血液サラサラ成分「アルキルピラジン」は、六条大麦の方により多く含まれています。 パッケージの裏面を見て、「六条大麦」と書かれているものを選んでみてくださいね。
妊婦さんが知っておきたい飲み物比較
| 飲み物 | カフェイン | 特徴・メリット | 妊婦さんへの推奨度 |
|---|---|---|---|
| 麦茶 (六条大麦) | 0mg (なし) | ピラジンで血流改善、ミネラル補給 | ◎ (積極的におすすめ) |
| 緑茶・紅茶 | あり | カテキン等の抗酸化作用はあるが、カフェイン制限が必要 | △ (1日1-2杯まで) |
| カフェインレスコーヒー | 微量 (数mg) | リラックス効果。加工品のため添加物に注意が必要な場合も | ◯ (気分転換に) |
| 水 (ミネラルウォーター) | 0mg | 水分補給の基本。機能性成分はない | ◯ (基本として飲む) |
よくある質問 (Q&A)
Q: 緑茶やウーロン茶も、薄めれば飲んでも大丈夫ですか?
A: 神経質になりすぎる必要はありませんが、毎日の水分補給としてガブガブ飲むのはおすすめしません。
緑茶やウーロン茶にはカフェインが含まれています。薄めても総量は変わりません。1日1〜2杯楽しむ程度なら問題ありませんが、「喉が渇いた時の水分補給」は麦茶、「リラックスタイムの嗜好品」は緑茶、というように役割を分けるのが賢い付き合い方です。
Q: 麦茶はミネラル豊富と聞きますが、栄養補給になりますか?
A: 「水よりは良い」ですが、過信は禁物です。
麦茶にはカリウムなどのミネラルが含まれていますが、その量は食事(例えばバナナ1本)に比べれば微量です。麦茶だけで栄養を摂ろうとせず、「カロリーゼロで、水よりも体に嬉しい成分が入っている飲み物」くらいの感覚で、食事と合わせて楽しんでくださいね。
麦茶はママと赤ちゃんを繋ぐ「お守り」。今日から自信を持って飲もう
妊娠中の飲み物選び、もう迷うことはありません。
麦茶は、カフェインが入っていないだけの「消極的な選択肢」ではありません。
お腹の赤ちゃんに栄養を運ぶあなたの大切な血液をサラサラにし、冷えやむくみから守ってくれる、頼もしい「お守り」のような存在です。
今日の帰り道、スーパーに寄ったら、ぜひ「六条大麦」の麦茶を手に取ってみてください。そして家に帰ったら、清潔な容器で「水出し」にして、冷蔵庫に常備しましょう。
冷えた麦茶をゴクリと飲んで、「あ、美味しい」と感じた時。そのリラックスした気持ちとサラサラの血液は、きっとお腹の赤ちゃんにも伝わっていますよ。
素敵なマタニティライフになりますように!
[参考文献リスト]
- 食品成分データベース – 文部科学省
- 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A – 厚生労働省
- 麦茶の香ばしい香りに血液サラサラ効果を確認 – キリンホールディングス


コメント