この記事を書いた人:なかじぃ 家飲み研究家 / 家庭料理研究家むかしから、自宅に友人同僚を読んでの家のみで料理しながらの飲みが趣味。もちろん、日常の料理もしっかりと行います。サラリーマン時代にはサラリーマンNしまの毎日レシピで料理ブログで人気を博す。
もちろんお菓子も作ります!得意スイーツはチーズケーキ!
Instagramを開けば流れてくる、クリームが溢れ出しそうな「生ドーナツ」の動画。「うわぁ、美味しそう…食べてみたい!」と思ってお店を調べたら、都内の店舗は炎天下で2時間待ち。
「さすがにドーナツのために2時間は並べない…」と、そっとスマホを閉じた経験はありませんか?
あるいは、「じゃあ自分で作ろう!」とレシピを検索してみたものの、「ブリオッシュ生地?」「発酵?」と難しい言葉が並んでいて、「私には無理かも」と諦めてしまったかもしれませんね。
でも、諦めないでください。実は、スーパーで買える「ある野菜」を生地に練り込み、100円ショップでも売っている「ある紙」を使って揚げるだけで、自宅のキッチンでもあのお店の「感動的な口溶け」は完全に再現できるのです。
元製菓学校講師として断言します。これは、あなたが不器用だからできないのではありません。単に「プロの秘密」を知らなかっただけなのです。今日は、私が試行錯誤の末にたどり着いた、絶対に失敗しない「おうち生ドーナツ」の正解レシピを伝授します。
そもそも「生ドーナツ」って何が生なの?

まず最初に、私たちが目指すべきゴールをはっきりさせておきましょう。「生ドーナツ」という言葉を聞いて、「えっ、生焼けなの?」「生クリームが入っているから?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、プロの世界での定義は少し違います。生ドーナツの正体とは、「口に入れた瞬間に溶けてなくなるほど柔らかい、リッチな配合のブリオッシュ生地」のことを指します。
つまり、「生焼け」でもなければ、単に「生クリームが入っているドーナツ」のことでもありません。「生チョコ」や「生キャラメル」と同じように、「まるで生のような、とろける食感」を持つドーナツだから「生ドーナツ」と呼ばれているのです。
この「とろける食感」を生み出すために不可欠なのが、卵とバターをたっぷりと使ったブリオッシュ生地です。通常のパン生地よりも水分と油脂分が多いため、パサつかず、しっとりとした口当たりになります。
しかし、ただのブリオッシュ生地では、あの「I’m donut?」のような、翌日もしっとり感が続く奇跡的な食感にはなりません。そこで登場するのが、次の章で解説する「秘密の野菜」です。
なぜ「カボチャ」を入れると、感動的な口溶けになるのか?

ここからが、今回のレシピの核心部分(UVP)です。
「I’m donut?」のドーナツを食べたことがある人は、生地の断面がほんのり黄色いことに気づいたかもしれません。実はあれ、卵の色だけではないんです。
あのしっとり感の正体、それは「カボチャ」です。
ブリオッシュ生地に加熱したカボチャを練り込むことによって、生地の保水性が劇的に向上し、時間が経ってもパサつかない「生食感」が生まれます。
なぜカボチャなのでしょうか? 科学的に解説しましょう。カボチャには多くのデンプン質と繊維が含まれています。これらがスポンジのように水分を抱え込む性質(保水性)を持っているため、揚げた後も生地の中の水分が逃げにくくなるのです。
カボチャによる保水メカニズムの図解

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「カボチャを入れると、野菜味のドーナツになってしまいませんか?」という心配は無用です!
なぜなら、今回使用する量はあくまで「つなぎ」としての黄金比率だからです。カボチャの風味はほとんど感じられず、言われなければ気づかないレベルです。あくまで「食感」のための魔法の隠し味として、安心して入れてくださいね。
【完全保存版】失敗知らずの「生ドーナツ」再現レシピ

それでは、いよいよ実践です。お店の味を再現するための「黄金比」と手順をご紹介します。
材料(8個分)
- 強力粉: 140g
- 薄力粉: 60g
- ポイント: 強力粉と薄力粉を7:3でブレンドすることで、歯切れの良さを出します。
- カボチャ(皮と種を取り除いて加熱したもの): 50g
- ポイント: これが魔法の食材!レンジでチンして潰したものでOKです。
- 砂糖: 30g
- 塩: 3g
- ドライイースト: 3g
- 卵: 1個(約50g)
- 牛乳: 40g
- 無塩バター: 30g
- 揚げ油: 適量
- 仕上げ用: グラニュー糖、お好みのクリーム(生クリーム、カスタードなど)
作り方
- 生地作り(捏ね)
ボウルにバター以外の材料を全て入れ、ひとまとまりになるまで混ぜます。台に出して捏ね、ある程度つながったらバターを加えてさらに捏ねます。カボチャが入るため、最初は少しベタつきますが、根気よく捏ねるとツルッとしてきます。 - 一次発酵
生地を丸めてボウルに入れ、ラップをして暖かい場所(30℃前後)で約60分、大きさが2倍になるまで発酵させます。 - 分割・ベンチタイム
ガス抜きをして8等分(約45gずつ)にし、丸め直します。濡れ布巾をかけて15分休ませます。 - 成形(ここが重要!)
軽くガスを抜き、再びきれいに丸め直します。そして、10cm角にカットしたクッキングシートの上に、一つずつ乗せます。 - 二次発酵
クッキングシートに乗せたまま、暖かい場所で約40〜50分発酵させます。一回り大きくなり、指で軽く押すと跡が残るくらいが目安です。 - 揚げ(最大のポイント)
160〜170℃の油で揚げます。クッキングシートごと油に入れてください。 - 仕上げ
熱いうちにグラニュー糖をまぶします。冷めたら箸で穴を開け、たっぷりとクリームを注入して完成!
最大の難関「ベタつく生地」はクッキングシートで攻略せよ
「レシピ通りにやったのに、生地がドロドロで手にくっついて丸められない!」
「鍋に入れる時に形が崩れて、変な形のドーナツになっちゃった…」
分かります、その気持ち。私も初心者の頃、高加水のパン生地を扱って、キッチンの床まで粉だらけにして泣きたくなったことがあります。
お店のような「口溶け」を作るには、生地の水分量を限界まで高くする必要があります。つまり、美味しい生地ほど、ベタベタして扱いにくいのです。これはあなたの腕が悪いのではなく、物理的な事実です。
だからこそ、手で扱おうとしてはいけません。
ここで登場するのが、先ほどの手順にも出てきた「クッキングシート」です。扱いにくい高加水生地を、形を崩さずに揚げるための唯一の正解は、「クッキングシートごと油に入れる」ことです。
クッキングシートを使った揚げ方の手順画像

この方法なら、発酵してふわふわになった繊細な生地を指で潰してしまうこともありません。油に入れた数秒後には、熱でシートが自然にペラっと剥がれてきますので、それを菜箸で取り除けばOKです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 揚げ油の温度は、必ず温度計を使って160〜170℃をキープしてください。
なぜなら、生ドーナツは厚みがあるため、高温(180℃以上)だと「外は焦げているのに中は生焼け」という悲劇が起きやすいからです。少し低めの温度で、片面2〜3分ずつじっくり火を通すのが、ふっくら揚げるコツですよ。
よくある質問:ホットケーキミックスじゃダメですか?
最後に、生徒さんから最もよく聞かれる質問にお答えします。
Q. 発酵とか難しそうなので、ホットケーキミックス(HM)で作れませんか?
A. 作れますが、それは「生ドーナツ」ではなく「ケーキドーナツ」になります。
厳しい言い方になってしまったらごめんなさい。でも、あなたが求めているのが「I’m donut?」のような「ふわもち・とろける食感」なら、ホットケーキミックスでは再現できません。
なぜなら、ホットケーキミックスとイースト生地では、膨らむ仕組みが根本的に違うからです。
- ホットケーキミックス: ベーキングパウダー(化学反応)で膨らみます。食感は「サクサク」「ホロホロ」とした、オールドファッションのようなケーキドーナツになります。
- イースト生地: 酵母の発酵(ガス)で膨らみます。グルテンの膜が風船のように伸びるため、「ふわふわ」「もちもち」としたパン(生ドーナツ)になります。
「あの感動的な口溶け」を自宅で再現したいなら、少し手間でもイーストを使って発酵させる価値は絶対にあります。私のレシピなら、カボチャとクッキングシートがあなたを助けてくれるので、恐れずにチャレンジしてみてください。
週末は「おうちカフェ」で行列店を超えよう
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「生ドーナツ」の正体は、カボチャを練り込んだブリオッシュ生地でした。そして、プロでも扱いにくいその生地を攻略する鍵は、クッキングシートという身近な道具でした。
もう、炎天下の行列に並ぶ必要はありません。
今度の週末は、スーパーでカボチャを買ってきて、おうちで「I’m donut?」ごっこを楽しんでみませんか?
揚げたてのドーナツに箸で穴を開け、クリームをギュッと絞り入れる瞬間のワクワク感。そして、一口食べた瞬間に広がる「ふわっ、とろっ」という至福の食感。
「えっ、これ本当に家で作ったの!? お店のみたい!」
家族や友人からのそんな驚きの声と笑顔が、あなたの週末を最高のものにしてくれるはずです。さあ、エプロンをつけて、魔法のドーナツ作りを始めましょう!


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